探偵ニュース対談vol.07

Vol.07 立正大学教授×原一探偵事務所 ※2017年7月1日 探偵ニュースに掲載されたものです。
  • 小宮 信夫
    小宮 信夫
    ケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科修了。法務省、国連アジア極東犯罪防止研修所などを経て現職。
    地域安全マップの考案者。

    小宮信夫の犯罪学の部屋
    URL:http://www.nobuokomiya.com

日本の防犯常識は、海外では非常識

原一
原一

今回は犯罪学に詳しい小宮信夫教授にご登場いただきます。小宮教授は『地域安全マップ』を考案するなど、子どもの安全に大きく貢献しておられます。治安がいいといわれる日本で、子どもの安全をどのように守っていけばいいのでしょうか?

小宮
小宮

日本は物理的な条件からすると危険な場所だらけです。海外の犯罪者からすれば、日本は犯罪天国です。

原一
原一

例えば?

小宮
小宮

学校周辺、公園、団地といった犯罪者がよく現れる場所も、犯行をやりにくくする対策を行っていません。私が視察に行ったオランダの小学校は校舎より高いガラス塀で囲まれていました。防犯の意味もありますが、周囲の車の排気ガスを校内に入れないため。そもそも、子ども達を守るという意識が日本とは大違いでした。

原一
原一

防犯知識の違いもありますか?

小宮
小宮

日本の防犯の常識は海外では非常識です。まず、不審者という言葉を使っているのは日本だけです。真っ暗な道が危険なイメージですが、犯罪者もそこは怖がります。子どもをターゲットにする犯罪者は、昼間の人通りの多いところで物色するのです。

原一
原一

まったく逆ですね。

小宮
小宮

親が子どもに間違った情報を教えるので、現在の日本では正しい防犯知識がなかなか身に付きません。

「最悪に備える」を基本に親も子も安全の知識を見直す

小宮
小宮

犯罪者は研究熱心です。いかに子どもをだまして連れ去るか、実践を交えて考えています。何人もの子どもに声をかけ、児童心理を理解していくのです。いきなり襲う犯罪者は約2割、あとの8割は巧みにだまして連れ去ります。ですから、防犯ブザーや大声を出すことは残念ながら、頭の悪い犯罪者にしか通用しません。

原一
原一

親も情報を得て、安全対策を勉強しなければなりませんね。

小宮
小宮

日本人は、犯罪に関して根拠のない安心感をもっています。常に『最悪に備える』ことがリスクマネジメントの基本。もしも海外だったら人身売買のえじきです。

調査・メンター・安全マップ、探偵が活躍できることは無数

原一
原一

原一探偵事務所では、子どもが帰ってこない、と相談を受けることが多いのですが、依頼を悩まれる方が多くて残念に思っています。

小宮
小宮

悩んでいる間に、どんどん事態は深刻になっていきます。病気と同じで早期発見・早期治療が重要。警察や公立の小中学校などパブリックサービスは無料ですから思うようにはいかないのは当然。お金よりも命が大事、すぐに動いてくれる探偵を利用するのは正しい選択です。また、探偵は自信と安心感を与えるメンターや、技術を活かした地域安全マップづくりの指導など、無数に活躍できる場面があるはずです。原一探偵事務所の今後の活躍に期待したいです。

原一
原一

ありがとうございます。子ども達を守るため、防犯対策にも尽力していきたいと思います。

子どもの犯罪被害等に対する意識
子どもの犯罪被害等に対する意識

出展:内閣府「平成25年子どもの安全に関する世論調査」より作成

小宮先生の書籍
小宮先生の書籍

「写真でわかる世界の防犯 遺跡・デザイン・まちづくり」
小宮信夫/著
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