不倫旅行でバッタリ妻に遭遇

40代 男性

昔、映画やドラマで流行った「失楽園」。
当時新婚だった俺も流行に漏れずに社内で新人の女の子と不倫をしていました。
流行って怖いもので、社内でも俺たちの他けっこうな人が不倫をしていたと思います。
ある時、映画に倣って旅行に行こうという話が出て不倫相手と温泉旅行に行くことになりました。
妻には社員旅行があるから。と疑われることもなく堂々と旅行準備をしていたものです。
妻も俺が旅行にいくなら、自分もたまには実家に帰って羽を伸ばすというので諸手をあげて賛成し、当日それぞれ笑顔で家を出たのです。
旅行先の温泉街はやはり映画の影響もあって、明らかに不倫だろうなとわかるカップルを見かけました。
自分たちもその一組なので、不倫相手と笑いながら楽しんでいたのです。
そして旅館で温泉を楽しみ、夕食の食堂へと向かったところ、通りがかった売店でふと視線が引きつけられるような感覚がして、そちらを見るとなんと妻を発見しました。
まさか浮気がバレたのかと思い、とっさに立ち止ってしまいました。
すると妻は誰かと笑顔で話をしているようなのです。
よくよく見ていると、妻が話しかけたのはやや年上の男性でした。
一瞬で妻も不倫をしているのだと悟り、視線に気づいたのか妻も私のほうに視線を向けました。
お互いに目が合った瞬間に、何かが切れたと思いました。
妻も私も話しかけることなく視線をずらし、お互いに相手と一緒に何事もなかったようにその場を去ったのです。
旅行が終わり、家に帰ると先に帰っていた妻は無言で離婚届を差し出してきました。
否定する事もなく俺もその離婚届けに記入し捺印。
お互いの不倫を知った瞬間が全ての終わりだったと思います。

不倫ブームが去り、数年はバツイチとして独り身だったのですが、あの時感じた何かが切れる感覚がずっと心に残っていて、付き合いがあった彼女も自然と別れていきました。
そんなある日実家を通して元妻から連絡があり数年ぶりに再会し、元妻と他愛のない話で盛り上がりました。
止まっていた時間が動き出したような感覚とでもいうのでしょうか。
たった一回会って話しただけなのに、お互いに急速にもう一度やり直したいという気持ちが強くなって、その場で再構築を提案したところ、妻は泣きながら頷いてくれました。
今では子どもも2人恵まれ、充実した日々を過ごしています。
一過性の流行とはいえ、妻も私も愚かな事をしたと時々思い出して反省をしています。

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